つい先日、NHKで放送された「ファミリーヒストリー」という番組を見ました。
芸能人のご家族の歴史を取材してドキュメンタリーにし、ご本人も番組内でそのVTRを家族と一緒に見るという内容でした。

藤原紀香さんのお祖父様は、戦前の日本の旧満州への移民政策に参加し、満州へ開拓団として渡られました。
満州といえば、つい今年の夏に 旧満州で中国人(と断言したわけではなかったと記憶していますが、対外的には中国人として政治的にも利用された所のあった方です)女優・歌手として活躍した李香蘭、日本名は山口淑子さんの著書「李香蘭 私の半生」という本を読んでいたし、旧満州国を描いた映画「ラストエンペラー」も子供の頃からなぜか好きで、興味のある内容でした。



移民といえば、桃井和馬さんというジャーナリストの方が書かれた「辺境からのeメール」という本を
20代の頃に読んだ事があります。
いくつか取材した短編をまとめた内容だったのですが、その中にボリビアへ移民された方の取材の話がありました。

当時の政府は、移民募集の際にはすごく良い事ばかりをふれて募ったようなのですが、いざ行ってみたら本当に何もない荒れ地で、人は住めないというような場所だったそうです。
でも日本に戻る事はもうできない。
移民の方達は荒れ地を自力で何年もかかって開拓しましたが、食料も得られなかったり マラリアや伝染病で命を落とす方も沢山いたようです。
並大抵ではない苦労があった事を書かれていたのが、印象に残っていました。

満州への移民もかなり大変だったようで、家は骨組みから紀香さんのお祖父様達が皆で力を合わせて作られたりしたようです。
後日の取材でもまだ一部家は残っていまして、しっかりした骨組みだったと語られていました。

しかしこの時代何が大変だったかというと、移民そのものも大変な事ですが やはり太平洋戦争です。
満州の話に戻ると今度は李香蘭の事も思い出します…
彼女の細かい歴史の話はちょっとここでは省きますが、紀香さんのお祖父様も李香蘭も あの時代の生きるか死ぬかの最中で、よくぞ生きて戻ってこられたなあと思います。

特に李香蘭は、戦後すぐに中国で漢肝裁判にかけられています。
漢肝とは、中国人が自国を裏切ったとみなされる行為です。
彼女は日本国籍である事が証明されたので、間一髪 死をまぬがれ日本に帰国できました。

同じように中国人でありながら日本名を名乗った男装の麗人・川島芳子(日本軍が満州国を建国する直前に滅んだ、清王朝の皇族の方でした)も、李香蘭と同じく漢肝容疑で投獄されたました。
彼女はわけあって日本で育っているため、日本時代の戸籍に自分が入っている事に最後の望みをかけましたが、戸籍がなかった為に銃殺されました。
李香蘭も川島芳子も、よくドラマや映画等になっていますね。 
私は川島芳子の話は、黒木メイサさんと真矢みきさんが演じられていたドラマで見ましたよ。 
李香蘭は、上戸彩ちゃんが演じていたドラマではじめて知りました。もう5年くらい前だったと思います。
李香蘭を今度紀香さんが演じられたら面白いな、なんてちょっと妄想してみました。
似合いそうです紀香さんも中国に縁がありますしね。 

話は紀香さんの事に戻ります。
彼女のお祖父様の奥様とお子さんは、引き上げの混乱の中で伝染病にかかり亡くなられたそうです。
終戦しても、中国で内乱が起こり引き上げが出来なかった人達…それが、私達が子供の頃によくニュースで見た「中国残留孤児」だったのだなあ、と今になって理解する事ができました。

李香蘭は、帰国後は政治家になったりでかなりの活躍をされました。
彼女の本を読んでいると、政治家や芸術家などそうそうたる人物の名前が出てきます。
そしてまだ、ご存命でいらっしゃるようです。90代だと思いますが、すごいですね。
こういう人はやっぱり運が強いというか、きっと大きな役目があるんだなあ、と思います。

紀香さんのお祖父様は、59歳で亡くなられたそうです。
異国で戦争に巻き込まれて奥様と子供を失ったりしたら、深い傷となり命も縮まってしまったのかなと、なんとなく思いました。
沢山の苦労をされたのでしょうね。

紀香さんは先日秘密保全法についてもブログで取り上げられていたのが印象に残っています。
紀香さんの書かれた記事
とても綺麗な方で、見た目は華やかな印象ですが、本来は母性も強く優しい方なのではないかな、と感じます。
私の中では少し、ダイアナ妃ともかぶるのですが…
きっとこのお祖父様の守りもすごく強く入っているし、これからまた今までとは違う形で、内側にある母性や優しさを発揮して活躍して行かれるのではないかなあ、と感じます。
この人もきっと大きな役目があるのでしょうね。
2人とも、やっぱり世に出るべくして出てきた人物、公人だなあと思います。


戦後70年近く経った今でも まだ戦争の傷というのは伝わってくるものがあり…
今の時代だからこそ、伝えたい思いがある魂が多くいるのかもしれません。

動画は、私の好きな李香蘭の曲「夜来香」(イエライシャン)です。
ちょっと不思議な異国情緒のあるメロディと、綺麗な中国語に惹かれるものがあります。